昭和の良き時代、街中には、小さな喫茶店がたくさんありました。そんな喫茶店では、クラシックの澄んだ音色やダークなジャズが流れ、コーヒーの芳醇な香りが、オシャレさん達を小粋な時間へゆったりと誘ったものです。私も御多分に洩れず、高校時代、アイビールックをキメこんで、友達や彼女と一緒に、時に無邪気にはしゃいだり、時に穏やかな大人を演じたりも。
そんな昭和の喫茶店のカウンターには、なんだか理科の実験器具のような興味唆る摩訶不思議なそれが異彩を放っていました。そうです、それが水出しコーヒーの抽出具です。上部から水が一滴ずつポタッ、ポタッと滴り、螺旋のガラス管をぐるりと回転しては、コーヒーメーカーの中に落ちてゆく様に魅かれ、その味わいを知った方も少なくないのでは。飲んだことのある方ならご存知でしょう、その味わいは、水を使いゆっくりと半日以上かけて抽出するので、熱による酸化が抑えられ、柔らかで深い苦味が特徴となっています。
ここ川中島駅前のカフェ「和」では、限定15杯で水出しコーヒーをご提供しています。「和」では、当時の器具はもちろん、水もこだわりの松代町の湧き水を使っています。あの懐かしの味をまたという方にも、一度味わってみたいという方にも喜んで頂けると思いますので、皆さんにご賞味頂けたら幸いです。
文責:渋谷